君に告げよう

「―――っ!!」



どうして……気付かなかったんだ。

伊地知が笑ってくれたから、僕が伊地知を守ると決めたから、それで大丈夫なのだと信じていた。

あいつは、僕の前で笑っていながらも、葛城たちに怯えていたんだ。

どうして……見抜けなかった……。




「………つか、遺書はなかったのか……?」



―――!?



受付のテントの裏からひそひそと話す声が聞こえてきた。

テント裏にゆっくりと回りこむと、そこには人目を忍ぶようにして学ランを着た生徒が二~三人、小さな声で何かを話していた。


それは……伊地知の父親の前で涙を流していた葛城たちだった。


僕の後に付いて来た永輝くんも、黙って葛城たちの様子を伺う。

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