君に告げよう

「……なかったみたいだぜ」

「……葛城、おまえって演技派だよな。涙まで流してよ」

「フン!昔飼ってた犬が死んだことを思い出したら泣けてきてよ」



さっきとはまるで違った態度。

葛城たちのニヤニヤと笑う顔が、受付から漏れたライトの光で照らされる。



「しかし葛城って頭いいよなぁ。伊地知がいずれこうなるって分かってたんだろ?」

「ははっ、まあな。竹島は自殺するタイプじゃねぇから思う存分やってやったけどよ」

「友達ヅラして陰で痛めつける。傷は絶対見えないところに!」



……こうなることを分かっていた?

追い詰められた伊地知が自殺することを予測して、目に付かないところを集中的に痛めつけた……。



「次、誰にする?」

「――そうだなぁ……。次、自殺されて遺書に名前書かれたらヤバイしなぁ」



怒りが、僕の胸をドクンドクンと鋭く鳴り響かせる。

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