君に告げよう

「おまえらには、暴力じゃない……違う形で報復してやる。覚えとけ」

「違う……形って……?」



永輝くんにそう聞いた葛城はごくりと唾を呑み込み、唇が小刻みに震えていた。


暴力じゃない、違う形での報復……?

僕はそれが何を意味しているのか、葛城たちと同じように理解できない。

永輝くんは葛城の問いには答えず、僕の肩をポンと叩いて「行くぞ」と声をかけた。


視線だけを永輝くんに預けたままの葛城たちを残して、永輝くんはスタスタとその場を立ち去っていく。

追いかけながら僕は「今の、どういう意味?」と聞いた。



「――遼太郎。明日の葬儀が終わったら、その手紙を伊地知の両親に見せろ」

「手紙を?」

「それから、同じクラスのヤツらで証言しそうなのを集めておけ」



ようやく、永輝くんの言った『報復』の意味が分かった。

伊地知の死は、葛城たちを殴っただけでは解決しない。

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