君に告げよう
ユウヤさんはあの事件の発端となった人で、時折、後悔の念を僕に漏らしていた。
『俺があの時、気をつけていれば……』って。
チームのメンバー誰もが望んでいた連合入りの件も、永輝くん自らが総会長のもとに出向いて辞退した。
それだけにユウヤさんの自責の念は、ひどく大きく、深いものになっていた。
「いいんじゃないの?ユウヤさんで」
「でしょー?なのに永ちゃんったら、首を縦に振らないのよ!」
時計を気にしながら姉さんは仕事に行く準備をする。
永輝くんの一年あとに高校を卒業した姉さんは、優美ちゃんの働く全国チェーンのレストランに社員として入社した。
優美ちゃんと姉さん。働いている店舗は別だけど、僕は姉さんの働いている店舗にばかり顔を出していた。
一度、優美ちゃんの店に顔を出したら、「売上げに協力しろ」と脅され、勝手に高いメニューを注文されてしまったから。
「あっ、ヤバイ。もう行かなきゃ!ね、永ちゃんが帰って来たら、遼太郎くんからも言ってやって。……じゃあね!」
「うん、分かった」
姉さんはバタバタしながら家を出て行った。