君に告げよう

……確かに。

これまでの永輝くんはずっと、二束のわらじを履き続けてきた。

学校が終われば、まっすぐ家に帰って特攻服に身を包む。

同じ学校にチームの仲間が何人かいて、ごく普通の友達なんてものが一人もいなかった。

学校での会話といえば、族のことばかりで。


茅島たちがやっているような、

「昨日のテレビ見た?」

「学校終わったらカラオケ行こうよー」

なんて話題がひとつもなかったんだ。



「会社は辞めるの?」

「あぁ。社長にも話は通してある。まぁ、来月の試験にパスできればの話だけどな」

「そっか」



来月という言葉を聞いてカレンダーに視線を移す。

11月かぁ……。

もうすぐ一年が終わろうとしている。

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