君に告げよう
*進む道*
「竹島くんは進路どうするの?」
そんな現実を突然聞かれたのは、高校三年の夏休み前だった。
地方の短大を受験することを入学当初から決めていた茅島は、いつまでたっても進路を決めない僕を心配する。
「別に、適当に就職するし」
「適当って……。バイトとか?」
「まぁなー。ほら、あそこの【来来軒】とかいいかもな」
そう言って僕は、教室の窓の外を指差す。
学校の敷地をぐるりと囲む高い塀の向こうに見える、赤い屋根のラーメン屋。
大きな文字で【来来軒】と書かれた看板が見える。
「ラーメン屋!?ねぇ、就職するにしても本気でやったら?バイトじゃなくて正社員とか……」
「おまえの物差しで物事を計るなよ」
「はあ!?」