君に告げよう

【バイト募集中】


学校からの帰り道。僕は【来来軒】の前で佇んでいた。

なにも今すぐ、自分の道を決めようってわけじゃない。

ここで働くことが何かのきっかけになれば、と思った。



「……あらっ!?お客さんかい?」



突然ガラガラと開けられた店の入り口の引き戸。

40代ぐらいの小太りのおばちゃんが、驚いたように目を丸くする。



「いえ、バイト募集中ってあったんで……」

「あぁ!バイト希望の子かい」



そう言って、おばちゃんは僕の顔と貼り紙を交合に見る。

そして、制服姿の僕に視線を止めると少し困ったような顔をした。



「あんた、そこの海南高校の生徒さんかい?」

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