君に告げよう
「……高校生か」
店の置くの厨房で仕込みをしていた大将は、僕を見るなりそう呟いた。
大将はおばちゃんと同い年くらいで、気難しそうな雰囲気の、いわゆる職人肌を思わせるような人だった。
店のカウンター越しに腕組みをしたままの大将と、じっと大将を見据える僕。
その間でおばちゃんが、
「表の貼り紙に大将がちゃんと書かないから!」
「もう何ヶ月も募集してんのに、来たのはこの子が初めてだよ!」
と甲高い声できんきんと吠えていた。
「夏休みの間だけ、ウチで働いてみるか?」
「――えっ!?本当かいっ!?」
そう言われて驚いた声をあげたのは、僕じゃなくておばちゃんの方だった。