君に告げよう
「どうだ?」
「は、はい……。夏休みの間だけ……」
「いやー、よかったねぇ!!あんた!」
急遽決まった採用に、おばちゃんは大喜びして僕の背中を力任せに何度もばしばしと叩く。
いったい、僕は今日、何度背中を叩かれたんだろう?
「じゃあ、終業式が終わったらここに来い」
それだけ言うと、大将は仕込みの続きをするため厨房へと戻っていった。
高校生はお断りのくせに、なんだって急に……。
困惑しながら店を出る僕に、おばちゃんが小さな声で話し始める。
「この店はね、大将の代で終わっちまうんだ」
「……えっ?」
「跡継ぎがなくてね。息子が二人いるんだけど、ラーメン屋なんてお断りだって家を出て行っちまったのさ」