君に告げよう

「そう……なんですか」

「あんた、大将んとこの下の息子に似てる」



永輝くん以外の誰かに似てると言われたのは初めてだった。

唖然としている僕を見て、おばちゃんは慌てたように言葉を足した。



「あぁ、ごめんね。変なこと言って。ま、ここもさ、自分に向かないと思ったら辞めたっていいからね」

「……はぁ」



思いつきとはいえ、なんか……とんでもない所に来てしまったような気がした。



結崎家に立ち寄った僕は早速、夏休みに【来来軒】でバイトすることを永輝くんに伝えた。

専門学校の入学試験にパスした永輝くんは、夜はコンビニでのバイトをしていた。

学生らしい毎日を送る永輝くんだけど、特に変わった様子もなく淡々とした日々を送っている。


< 153 / 301 >

この作品をシェア

pagetop