君に告げよう
*別世界の彼女*
一学期の終業式。僕は学校が終わると、そのまま【来来軒】へと向かった。
ちょうどお昼時。
工事現場のおじちゃんやサラリーマンなんかで店がごった返していたから、店が落ち着くまで僕は外で待つことにした。
肌を焼き付ける灼熱の太陽の下で、僕は額から流れる汗を何度も拭う。
「……遼太郎くん?」
「あっ、姉さん!」
不意に声をかけられて振り返ると、スーツ姿の姉さんが目を丸くして立っていた。
レストランの社員は、バイトと違っていつもスーツで出勤している。
「なに?今日からバイト?」
「うん、まぁ……」
永輝くんから僕のバイトのことを聞いたんだろう。
姉さんは【来来軒】を指差してそう聞いた後、呆れたように笑った。