君に告げよう

「あそこのカキ氷がおいしいんだよねー」



傷跡を隠すシャツの袖に気を取られている僕に、姉さんが弾んだ声で言う。

姉さんの視線の先を見ると、学校の帰りに何度か通ったことのあるオープンカフェがあった。


そういや、茅島が言ってたな。

『オシャレなオープンカフェがあるんだよ』って。


今度一緒に行かない?と誘われたこともあったけれど……。

僕はそういう場所がすごく苦手だったから、「誰がおまえなんかと」なんて憎まれ口を叩いたんだ。



――カラーン……。

カフェの入り口のドアを開けると、上部のベルが涼しい音を立てる。


姉さんは僕の希望なんて聞きもせずに、さっさとカウンターへと行き、ミルクがたっぷりかけられた苺のカキ氷を注文した。


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