君に告げよう
「……ってー!」
微妙に柔らかい感触に、僕はそれが人であることにすぐ気付いた。
「ご、ごめんなさい!!」
「いや、大丈夫だよ。俺こそごめん」
どう考えたって、よそ見していた僕が悪いのに、ぶつかった女の子はひたすら謝り続ける。
この近辺では見たことのない制服を着ている彼女を見て、顔立ちや雰囲気から僕と同い年くらいかなと思った。
「沢井ー!何やってんだよー!」
姉さんが座った席と背中合わせのテーブルから、彼女の友達らしき男女が顔をひょっこりと出す。
「あっ、うん。すぐ行く。……あの、本当にすみませんでした」
完全に動揺してしまっている彼女は目を泳がせながらもう一度謝り、友達のいるテーブルへと小走りで去って行った。