君に告げよう

「……まったく。遼太郎くんが悪いよ?ちゃんと前見てないから」



イスに座るなり、姉さんは眉間に皺を寄せて冷たく言う。

僕は無言で、カキ氷のてっぺんに乗せられた大きな苺をパクリと一口で食べた。



「……ちょっと柚羽。あんたがさっきぶつかった人って、なんかヤバそうな感じの人じゃない?」



……?

それって……、僕のことか?


優しいBGMが流れる落ち着いた店内。

姉さんの背中越しに座っていた、さっきの彼女を含めた集団のヒソヒソ声が嫌でも聞こえてきた。



「諒子ったら……。人を見かけで判断しちゃダメって。ちゃんと謝ってくれたよ?」



当の本人は、そう言って来た女友達を叱るように言い返す。

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