君に告げよう

殴られた頭を抑えながら、うつろになった目でぼんやりと永輝くんを見る。


永輝くんと姉さんは、相変わらず一緒だ。

永輝くんは、姉さんと一緒にいることに幸せを感じるようになったのかな……。


最近、よく笑うようになった。

……以前は、口角だけを上げて静かに笑うだけだったのに。


くだらない冗談を言うようになった。

……それはいつも僕の役目だったのに。


永輝くんの気持ちが手に取るように分かるようになった。

……昔は喜怒哀楽をはっきり出さなかったのに。



以前よりもずいぶんと人間らしくなった永輝くん。

戸惑いとともに、大きな不安に襲われる。


『なに』が永輝くんを変えたんだろう?って――。


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