君に告げよう
「……うん。次からはちゃんとノックするよ」
ようやく顔を上げた僕は空になったコップを優美ちゃんに差し出し、おかわりを頼んだ。
「……それ、どうした?」
永輝くんが顔を上げた僕の顔を覗きこみながら、優美ちゃんに手当てしてもらった口元の傷をそっと触ってきた。
「……っ……!」
「あぁ、悪い。痛かったな」
軽く触れられただけなのに、電気のようにビリビリと痛みが走った。
歯が折れなかっただけ良かったと、ふと思う。
「やられたんだよ、同じクラスのいつものヤツらに」
ジュースを僕に手渡しながら優美ちゃんが言う。