君に告げよう
「永輝、ちょっといいか?チームのことで聞きたいことがある」
盛り上がっているなか、散々酒を飲んだくせに顔色ひとつ変わらない啓介さんが、突然立ち上がった。
永輝くんは何かを覚悟していたかのように「はい」と言うと、啓介さんの後に続いて家を出て行った。
「なんだろ?」
二人の間に一瞬だけ流れた、ただならぬ空気。
思わず僕も立ち上がって後に続こうとしたけれど、それを姉さんが止める。
「止めといた方がいいよ」
「……やっぱり?」
「当たり前じゃない」
姉さんに厳しく咎められ、僕たちは二人きりで酒を飲み続けた。
永輝くんが今まで飲んでいた杏酒を、姉さんがぐびぐびと飲み干す。
甘いものが苦手なくせに、永輝くんは杏酒がお気に入りで、いつもロックで飲んでいる。