君に告げよう

声をかけた僕に気付いた姉さんが、眉をひそめて「しっ!」と人差し指を口にあてがう。

そして、「あっちに行って」と手のひらで僕を追い払うような仕草をした。


ドアの向こうにいるのは……啓介さんと永輝くんだ。

二人の話を、自分だけ立ち聞きするなんて……。

僕はふて腐れた顔をしながら部屋に戻った。



「悪い、待たせたな」



それから程なくして、姉さんが逃げ込むようにして部屋に戻り……。

後に続くようにして、啓介さんと永輝くんが戻ってきた。



「ね、何の話してたの?」



率直に聞く僕に、啓介さんも永輝くんも笑って答える。



「いや……、お蔵入りになった連合の話とか……」

「積もる話がいろいろとあるんだよ」

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