君に告げよう

やがて、僕の不安は日増しに大きくなっていく。


【来来軒】での仕事を終えて永輝くんの家に行くと、いつも必ずいるはずの姉さんの姿が見当たらない日が続いた。



「……姉さん、最近いないね」

「……ここにずっと入り浸りっていうのもな……」



言葉を濁すように永輝くんは言う。

仕事を終えて帰ってきた永輝くんは、どこかに出掛ける準備をしている。



「どこか行くの?」

「……うん…、ちょっと……」



また、言葉を濁す。

僕のそばを通り過ぎた永輝くんから、ふわりと匂う香水。



「……永輝くん、香水変えた?」

「目ざといな。変えたよ」

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