君に告げよう

「この際、かんなにハッキリ言ってしまおうか。……おまえに好きな女がいるってこと……」



少しの沈黙の後、啓介さんが覚悟したように口を開いた。

啓介さんの言葉を聞いて、やっぱり女がいたのだと分かった僕は永輝くんに思わず突っ込む。



「永輝くん、好きな女がいるの?」



けれど。

思った以上に事は深刻だったらしく、二人は僕の突っ込みにはまるで耳を貸さない。

僕はそれ以上、何も言わずに二人の話を黙って聞くことに徹した。


永輝くんに対する姉さんの執着は、僕の予想をはるかに超えていた。


【来来軒】で働くようになった僕は、以前と比べ、永輝くんの家に行く回数が少しだけ減ってきていた。

永輝くんの家に来なくなった姉さんが、早朝から永輝くんの家に来ていることも初めて知った。

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