君に告げよう

「あたりめを食いたい」と言い続けている僕に観念したのか、永輝くんは「しょうがない」と言って車の鍵を手にすると部屋を出て行った。



「……あたしも行ってくる」



そう言って姉さんが、ベッドに無造作に置かれた永輝くんのジャケットと自分のコートを勢いよく掴んだ。



「かんな。おまえはここにいろ」



あんなに酒を飲んだくせに。

酒豪の啓介さんは冷静な口調で言い放つ。



「いいじゃない。ちょっとコンビニに行くだけだし」

「……永輝の元バイト先か?」

「一番近いからそこに行くに決まってるじゃない」



アルコールで身体を支配されながらも、言いようのない不安が胸をよぎる。

永輝くんの元バイト先って……。

彼女が……、柚羽さんが今もまだバイトしているコンビニ……。

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