君に告げよう

ふと気付いた時、僕は見慣れた部屋にいた。

そこは、僕の部屋で……。

どうやって帰って来たのか、全くと言っていいほど記憶に残っていなかった。



「……仕事……、行かないと……」



二日酔いの頭痛と胸のむかつき。

フラついた足取りで浴室へと向かい、シャワーを浴びる。

熱いシャワーが僕の身体を目覚めさせた。



それから身体を引きずるようにして車に乗り込み【来来軒】へと向かう。

店ですでに仕込みを始めていた大将に、二日酔いであることをすぐに見抜かれた。


『客の前で吐かれたらたまんねぇからな』


そう言って大将は、仕込みだけをさせると、そのまま僕を家に帰した。

店を出る前に、大将は「次、二日酔いで来たらクビだからな」と、鋭い釘を僕に打ち込んだ。


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