君に告げよう
店を出ると、僕は真っ直ぐに永輝くんの家へと向かった。
まだ昼前。
永輝くんが仕事中であることは十分に分かっている。
それでも、僕の運転する車はただ真っ直ぐに永輝くんの家へと動き出す。
「……やっぱ、鍵かかってるよなぁ」
昔は、優美ちゃんや永輝くん、姉さん、三人のうちの誰かが必ずいたから家の鍵はいつも開いていた。
けれど今は、冷たく閉ざされたままで……。
僕は玄関のドアに背中を預けるように腰を下ろし、膝を抱えて座った。
冬の冷たい風が僕の体温を少しずつ下げていく。
何もこんなに寒いところで待つことなんてないのに。
でも……、今の僕は、この場所で永輝くんを待ちたい気分だったんだ。
仕事が定時で終わったのなら、もう帰ってきてもおかしくない時間帯。
永輝くんが帰って来る気配はなくて、僕は思い切って永輝くんの携帯に電話をかけた。