君に告げよう
「最初は別のところに行くって言ったよ。けど、かんなが、『あたしと一緒だとヤバイ?』って言ってきてさ……」
「……うまくはぐらかせば良かったのに……」
「そうだな……」
諦めにも似た、永輝くんの深い溜息。
永輝くんは黙ったまま、タバコに火を点けた。
ジッポのオイルの匂いが僕の鼻をやわらかくくすぐる。
「それだけじゃないんだ。かんなは柚羽のことをとっくに知っていて、柚羽の住んでいるアパートまで知ってた」
「………」
言葉が……出てこなかった。
姉さんがそこまで下調べをしていたなんて。
絶句している僕に、永輝くんはさらに衝撃的な事実を突きつけた。
「柚羽に嫌がらせもしていた。アパートのポストにカミソリを入れたり、バイト先に名指しでクレームつけたり……」
「……何かの間違いじゃ……」