君に告げよう

だけど……。

永輝くんが懸命に涙を堪えようとしているのだけは分かった。


震える肩。

何度も何度も繰り返される、大きくて深い呼吸。



「もう、柚羽には会わないよ」

「……えっ?」

「これ以上、彼女を傷つけたくないからな」



柚羽さんは永輝くんを好きで。

永輝くんも柚羽さんを好きで。

お互い好きなのに、会おうと思えば会える距離なのに。

それなのに、会えなくなるってどんな気持ちなんだろう。


僕も永輝くんも……姉さんを甘く見ていた。

永輝くんをこれほどまでに深く思っていたことを、どうしてもっと早く見抜けなかったんだろう。


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