君に告げよう
永輝くんが彼女とともに過ごした日々は、一年にも満たない、たった数ヶ月だった。
それまでは感情を露にしなかった永輝くんだったけれど……。
彼女と出会ってからの永輝くんは、初めて僕たちに人間らしさを見せた。
そして、あの日……――。
僕だけが見た、永輝くんの涙。
『きっと、俺も忘れることができるから』
永輝くん。
人は確かに忘れることができる生き物だよ。
でもさ……。
大切な人との思い出だけは、記憶を操作されない限り、決して忘れることができないんだよ。