君に告げよう
「石塚かんなです。はじめまして。永ちゃんからいつも聞いてるよ、遼太郎くんのこと」
「……あ、はい……」
「遼太郎!!」
彼女から顔を背けたまま返事をすると、隣りにいた優美ちゃんから蹴りを入れられる。
「いてっ!何すんだよ、優美ちゃん!」
「人の話を聞く時は、話す人の目を見る!おまえ、小学校で習っただろうが!」
「そ、そうだけど……」
彼女の顔を見れない、もう一つの理由。
それは、さっき僕が永輝くんの部屋を出て行った直後に耳にした彼女の喘ぎ声……。
そして――、ベッドの中にいた彼女の一糸纏わぬ姿……。
「姉貴、あんな所を見た後なんだし……。まともに顔なんか見れないって」
怒り狂う優美ちゃんを諭すようにして、永輝くんが優しく言う。
彼女はその隣りでクスクスと小さく笑っていた。