君に告げよう
永輝くんの地図は本当に正確で、僕は迷うことなく柚羽さんのアパートに着いた。
エレベーターのない、三階の一番端。そこが柚羽さんの部屋だった。
柚羽さんと会うのは初めてで、僕はこれまでにない緊張感を味わう。
見ず知らずの僕のことを警戒するだろうな。
柚羽さんは、僕が来ることを知っているのかな。
いろいろと思うことはあったけれど、迷っている時間はない。
部屋のドアの前に立つと、僕は迷いもせずにドアをノックした。
「……どちらさまですか?」
初めて聞く彼女の声は、あきらかに警戒していた。
僕は少しでも警戒心を失くそうと、落ち着いた口調でゆっくりと名乗る。
「……竹島遼太郎といいます。永輝くんの従兄弟です」
「……どんな御用件ですか?」
名乗っても、彼女の警戒心は緩まない。
無理もないな。姉さんに嫌がらせされていたのだから……。