君に告げよう
自宅近くの交差点。
急いでいる僕の気持ちを裏切るようにして信号が赤に変わる。
こんな時はいつもタイミング悪く信号に引っかかり、苛立ちがピークに達する。
早く変われと信号を睨みつける視線の先に、見覚えのある姿が目についた。
「……柚羽さん……?」
それは、さっき僕が送り届けたはずの柚羽さんの姿。
俯き加減で途方にくれるようにして歩いていた。
――……なんで、こんなところに……。
永輝くんと一緒にいるはずなのに……。
信号が青に変わり、僕は、柚羽さんが歩いている歩道に車を寄せた。
「柚羽さん?」
助手席の窓を開け、彼女に声をかける。