君に告げよう
「……遼太郎くん……」
今にも泣き出してしまいそうな顔。
そして、何かを訴えかけるような大きな瞳。
ほんの数秒僕の顔をじっと見ていた彼女は、突然わっと声を上げて泣き崩れた。
「柚羽さんっ!?」
僕は慌てて運転席から降りると、柚羽さんを抱きかかえるようにして助手席に乗せた。
街灯に照らされた、泣き腫らした彼女の顔。
涙を流したのは今が初めてじゃないということに気付く。
運転席に戻った僕はとりあえず車を出し、目的もないままに夜の道を走らせた。
柚羽さんは下を向いたまま、手のひらで何度も涙を拭う。
その仕草がぴたりと止まったのを確認してから、僕は彼女に声をかける。
「……落ち着いた?」