君に告げよう

――……なに……やってんだよ、揃いも揃って……。

言いようのない怒りが湧き起こる。


柚羽さんが来ることを知っていて、姉さんとそういうことをしていた永輝くん。

救いようがないくらいに辛い現場を目撃したのに、笑っている柚羽さん。



「……柚羽さん、バカ?」

「は?」

「泣いてんの?笑ってんの?…ショック受けてんの?開き直ってんの?」



僕は怒りをぶつけるようにして、柚羽さんに矢継ぎ早に聞く。

柚羽さんの顔から、笑みがスーッと引いた。



「……全部よ」



悲しげな瞳。

自分が今、どんな感情を持っているのかさえも掴みきれていない。

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