君に告げよう
「浮気者は無視無視!」
「……そうだね」
力なく笑う柚羽さんの表情が僕の胸を突き刺す。
永輝くんと姉さんの間に起きた真実を僕は知らない。
柚羽さんから聞いたことだけがすべてだ。
……無性に腹が立つ。
だけど……、永輝くんの真剣な思いだけは柚羽さんに伝えたくて……。
「ここで……デート?」
僕が柚羽さんとのデートに選んだ場所。
そこは、永輝くんがかつて総長としてチームを仕切っていた頃に、何度も走り抜けた国道だった。
柚羽さんがどこまで永輝くんの過去を知っているのか、僕には分からない。
全てを知っていたとしても、僕の口からもう一度、伝えたかった。