君に告げよう

「永輝くんはね、先代の総長に助けられたことがあったんだよ」

「……かんなさんのお兄さん?」

「うん。対立していた族に仲間を拉致られて、永輝くんは助けに行ったんだけど、半殺しに遭ってね」



平日の夜の国道は、驚くぐらいに静寂を保ち続けている。

18歳で引退という慣例を無視して、ユウヤさんは今も総長としてチームに残っている。

自分なりにケジメがついたら引退すると言っていた。



「永輝くんを助けに行った先代の総長は相手をボコボコにして年少行き。永輝くんは自分も出頭しようとしたけど、それを先代の総長に止められたんだ」

「…じゃあ、永輝はその総長の後を継いで…」

「うん。新しい総長になった。その人はもう年少から出てきてるんだけど、永輝くんはそのことを今も負い目に感じていて、姉さんを強く振り切ることができないんだよ」



きっと柚羽さんは、ここまで深く聞かされていなかったんだろう。

時折、呆然としたをしたり、あぁ知っているわという表情を見せたりした。

その表情や、永輝くんのことを自然に『永輝』と呼ぶ声。

すべてに、永輝くんへの愛情を感じた。

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