君に告げよう

国道でしばらく柚羽さんと過ごし、彼女をアパートまで送り届けた僕は、その足で結崎家へと向かった。

ガレージ側にある永輝くんの部屋に灯りがついているのを見た瞬間、言いようのない怒りが込み上げてきた。


鍵が開いていた玄関のドアを乱暴に開け、僕はドタドタと大きな足音を立てながら永輝くんの部屋へと行く。



「遼太郎……?」



ベッドで横になっていた永輝くんが、ぼんやりとした顔で僕を見る。

僕は我を忘れて永輝くんの胸倉を掴み、その勢いのまま永輝くんの顔を殴りつけた。



「……にすんだよっ!」



永輝くんが鋭い目で僕を睨みつけ、怒声を響かせる。


――……永輝くん。

昔は違ったよね?

一方的に殴られても、相手を怒鳴りつけることなんかしなかったよね?

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