君に告げよう
いつだって冷静で……。

これが昔の永輝くんだったら、口元から流れる血を無言で拭いながら立ち上がっていたんだ。

そして、凍てつくような視線で、無言のまま相手を威嚇して……。


そんな永輝くんを人間らしくしたのは誰だよ。

……柚羽さんだろう?

どうして、その柚羽さんに辛い思いをさせるんだよ……。



「ハンパなことしてんじゃねぇぞ、てめぇ!」



初めて、永輝くんに啖呵を切った。

永輝くんと絶縁状態になったっていい。ボコボコに殴られたっていい。

僕の怒りは留まることを知らなかった。



「柚羽さんが来るって分かってんのに、姉さんとヤってたのかよ!」



そう言い放つと、永輝くんはうなだれるようにしてその場に座り込んだ。

< 223 / 301 >

この作品をシェア

pagetop