君に告げよう
「天秤にかけてんじゃねぇよ!どっちかにしろよ!」
「………」
「姉さんを選ぶんなら柚羽さんに二度と会うな!柚羽さんを好きなら姉さんとヤったりすんなよ!」
支離滅裂な言葉であることは分かっていた。
どんなに抗っても、それが出来ないことも……。
「……そうだよな」
永輝くんが俯いて小さな声で呟く。
その声で、身体の力が抜けてしまって……、僕も永輝くんと同じように座り込んだ。
「ごめん……、永輝くん」
「いや、いいよ。……分かっているから」
そう言いながら、永輝くんは僕の髪の毛をくしゃくしゃと丸めるようにして撫でる。
久しぶりに感じた永輝くんの左手。