君に告げよう

「永ちゃんを解放しろですって?」

「……俺が姉さんのそばにいるから」



姉さんのそばにいることなんて苦痛じゃない。

ただ、今の状況から永輝くんを救いたいと思ったように、姉さんも同じように救いたいと思ったから。


縛り付けるだけじゃ、何も生まれないんだ。

縛れば縛るほど自分までもが辛い思いをするということに、姉さんは気付いていないから……。



「遼太郎くんじゃ役不足よ」

「……姉さん!」



笑っておどけたように言う姉さんに、僕は厳しく一喝する。



「分かってるのか?姉さん、今のままじゃ苦しいだけだよ?最近の永輝くんがおかしいってことに気付かないのか?」

「……おかしい?永ちゃんが?」



姉さんはフッと静かに笑った後、言葉を続けた。

< 232 / 301 >

この作品をシェア

pagetop