君に告げよう
「――永輝くん?」
日曜日のデパートは家族連れの姿が目立つ。
その中を掻き分けるように、永輝くんは何かを思い立って歩き始めた。
その先に宝飾店のテナントが見える。
たった今、結婚の話をしていただけに嫌な予感がした。
「何考えてんだよ。本当に結婚する気?」
「……するよ」
「永輝くん!」
永輝くんの足を止めようと前に立ちはだかった僕の身体を、永輝くんはグイと押しのける。
そして、吸い込まれるようにして、宝飾店の中に入って行った。
「勝手にしろよ!」