君に告げよう

永輝くんが買った指輪は一週間ほどで仕上がるようだった。

その指輪を姉さんの左手の薬指に納めたあと、永輝くんは何て言うのかな。

永輝くんのことだから、ストレートに「結婚しよう」なんだろうな。

そして姉さんは、きっと泣きながら頷くんだ。


――……?


胸がズキンと痛んだ。

泣きながら永輝くんのプロポーズを受け入れる姉さんの姿を想像した瞬間に……。


ズキン……ズキン……

胸の痛みはしつこく続く。


姉さんが……永輝くんと結婚する。

僕はきっと、笑って「おめでとう」なんて言えやしない。


柚羽さんを思い続けている永輝くんが、他の女と結婚してしまうから。

そして……。

姉さんが、僕の従兄弟と結婚してしまうから……。


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