君に告げよう
ここで僕が柚羽さんに接触しても、何の意味もない。
かえって柚羽さんを悲しませるだけだ。
何ひとつとして役に立たない、非力な自分。
「………」
深い溜息をつくと、僕は、柚羽さんのアパートの横に止めていた自分の車にエンジンをかけた。
柚羽さんのアパートに行くことを止め、永輝くんの口から姉さんとの結婚を告げられるのを待つ日々。
そんなある日。
僕は永輝くんに、たった一つだけ聞いた。
「……永輝くんは、柚羽さんを本当に忘れられると思う?」
覚悟して聞いたわけでも、事前に聞こうと思っていたわけでもなかった。
ふと、口をついて出て来た、僕から永輝くんへの最後の問い。