君に告げよう
*ある雨の日*
「おばちゃん!チャーハンあがったよ!」
「あいよっ!」
久しぶりに見た永輝くんの笑顔。
翌日、僕は妙にテンションが高くて。
いつも以上に張り切って仕事をしていた。
ずっと皿洗いとか、おばちゃんや大将の手伝いばかりだったのに。
大将からチャーハンを作る許可が出た。
でも、【来来軒】の顔でもあるラーメンのスープの仕込みはまだまだ先になりそうだ。
「……このアパートって、俺たちの現場近くじゃねぇか?」
「転落ー?自殺じゃねぇのか?」
「まだ若い姉ちゃんだなぁー」
店のテレビから流れる、十分間の短いローカルニュース。
店の常連客でもある工事関係のおじちゃんたちの驚く声が、奥の厨房にまで聞こえてくる。