君に告げよう

その声を背中で聞きながら、僕はひたすら中華鍋を振り続けチャーハンを作っていた。


自殺……。

嫌な言葉だ。

伊地知が死んでから、自殺という言葉を耳にするとたまらない気持ちになる。



「遼ちゃーん!電話だよー!」



最後のオーダー分のチャーハンを作り終わったところで、タイミング良くおばちゃんが僕を呼んだ。



「誰から?」



汗を拭きながら厨房を出て、電話があるレジへとゆっくり歩いて行く。

おばちゃんは受話器を渡しながら、「名前忘れた。女の人だよ」とすまなそうに言った。


……女の人?

姉さんか?

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