君に告げよう
僕は仕事を早退して、優美ちゃんが言っていた病院に車を走らせた。
何も考えることができず、頭の中は『無』の状態を保ち続けながら病院へと向かう。
待合室で僕を待っていた優美ちゃんは目を真っ赤にしている。
そんな優美ちゃんに連れられて、『霊安室』と書かれた殺風景な部屋に入った。
目の前にいる、白い布で被われて、無機質なベッドに横たわっている『誰か』。
優美ちゃんが、そいつの顔に掛けられている白い布をそっと外す。
――……誰だよ、コイツ……。
ベッドに近づこうとしない僕の手を優美ちゃんが強く引っ張った。
「――……っ……!離せよっ!」
僕は、いつだって何事にも強引な優美ちゃんを、初めて振り切った。
「ていうか、誰だよコイツ!俺、仕事中だったんだぞ?仕事を早退までさせて、こんなところに連れて来て……!」
「遼太郎!」
「うるせぇよ!こんなヤツ、知らねぇよ!!」