君に告げよう

永輝くんの家を出てしばらく歩いた後、彼女がぽつりと言った。



「永ちゃんに似てる。従兄弟とはいえ、やっぱり血が繋がってるからなのかな」



永輝くんに似ている。

僕はよく人からそう言われる。


顔が瓜二つってわけじゃない。

無口なところ、些細な仕草、雰囲気が永輝くんに似ているのだと、誰もが口を揃えて言った。

永輝くんを誰よりも慕っているからと言って、別に真似しているわけじゃなかった。

物心ついた時からずっと一緒にいたから、知らずのうちに永輝くんの癖が染み付いてきたのかもしれない。



「ね、遼太郎くんは兄妹はいるの?」

「……ううん。いない」

「そっかー、一人っ子かぁ。あたしにはお兄ちゃんがいるんだけどね」

「啓介さんでしょ?」

「知ってるの?」

「……会ったことはない」


< 25 / 301 >

この作品をシェア

pagetop