君に告げよう
永輝くんの家を出てしばらく歩いた後、彼女がぽつりと言った。
「永ちゃんに似てる。従兄弟とはいえ、やっぱり血が繋がってるからなのかな」
永輝くんに似ている。
僕はよく人からそう言われる。
顔が瓜二つってわけじゃない。
無口なところ、些細な仕草、雰囲気が永輝くんに似ているのだと、誰もが口を揃えて言った。
永輝くんを誰よりも慕っているからと言って、別に真似しているわけじゃなかった。
物心ついた時からずっと一緒にいたから、知らずのうちに永輝くんの癖が染み付いてきたのかもしれない。
「ね、遼太郎くんは兄妹はいるの?」
「……ううん。いない」
「そっかー、一人っ子かぁ。あたしにはお兄ちゃんがいるんだけどね」
「啓介さんでしょ?」
「知ってるの?」
「……会ったことはない」