君に告げよう
「……あいつらも変わってねぇな。永輝が死んだってのに」
通夜が済んだ後、永輝くんの棺は会場から遺族の控え室に移された。
優美ちゃんは線香の火を絶やさないように、ずっと棺の前に座っている。
伯父さんたちは身内の相手ばかりしていて、息子の永輝くんの棺に近づくことも、涙を見せることもなかった。
涙を見せないのは僕も同じだ。
永輝くんが死んだっていうのに、悲しいという感情が全く沸き起こらない。
むしろ、腹が立った。
柚羽さんを残して死んで……。
正直な気持ちさえも伝えずに……。
姉さんとの結婚指輪を先走りして手に入れて……。
どうにもならないことだって分かっていたけれど。
いろんなことを中途半端にさせたまま、こんなにもあっけなく死んでしまって……。
その程度の生命力だったのか、と、行き場のない怒りだけが僕を包み込む。