君に告げよう
柚羽さん……。
もう知っているよな、この事故のこと。
そして永輝くんが死んだことも……。
大切な人を失ったとき、人は何を思う?
悲しみに暮れて泣いて……。
その人の分まで生きようと前向きになるのか、それとも……。
「――……遼太郎?どこ行くんだ?」
「すぐ戻る!」
僕は通夜会場を抜け出すと、大急ぎで柚羽さんのアパートへと車を走らせた。
前向きに生きようとする人間と、悲しみと辛さから抜けきれずに発作的な行動を起こす人間。
柚羽さんがどちらに該当する人なのかは分からない。
アパートに着くと、僕は階段を一段飛ばしで駆け上がる。
そして、冷たく閉ざされた柚羽さんの部屋のドアを叩いた。
「柚羽さんっ!柚羽さん!!」