君に告げよう

そして、小さな指輪を取り出すと僕に差し出した。



「なんだ、これ……」

「かんなが指に嵌めていたみたいなんだけど……。看護師が言うにはさ、どうもサイズが合っていなかったらしいんだ」



姉さんがいつも嵌めているファッションリングとは違う輝きを見せる銀色の指輪。


あぁ、そうか。
これがあの時に買った指輪か……。

早まったことするから、サイズの合わない指輪を買ってしまったんだな。



「これは……永輝の誕生日だよね?」



一度は僕に手渡した指輪を取り上げた優美ちゃんが、指輪の裏側を覗き込んで僕に聞く。



【EIKI 1005】

< 256 / 301 >

この作品をシェア

pagetop