君に告げよう

それは間違いなく永輝くんの誕生日を意味している四桁の数字だった。



「そうだよ。そして永輝くんは、姉さんの名前と誕生日が彫られている指輪を持ってんじゃないの?」



分かっている。

その指輪は姉さんと結婚すると言って買ったものだから。

だから当然、永輝くんは姉さんの名前と誕生日が刻まれた指輪を持っているに違いない。

男と女の関係には酷く疎い僕が、珍しく敏感に反応した。


けれど優美ちゃんは眉間に皺を寄せて、「そうか?」と反論し始める。



「でもさ、おかしいよ。どう見てもこれって結婚指輪だろ?普通は入籍した日を刻むもんなのに」



すでに結婚している優美ちゃんが知り尽くした、結婚指輪に刻まれた文字の意味。

優美ちゃんは自分の左手の薬指に嵌められた結婚指輪を外して、僕に裏側の刻印を見せた。

そこには、優美ちゃんの旦那の名前と、入籍した日が刻まれていた。

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