君に告げよう
『……結婚するよ』
永輝くんの悲しげな瞳を思い出す。
「……まさか……」
僕はスッと立ち上がって、棺の中で眠る永輝くんを覗き込む。
今はもう、何一つとして真実を語らない永輝くん。
あの時の悲しげな瞳も。
柚羽さんへの思いを言葉にした口も。
固く閉ざされていて、もう二度と永輝くんから真実を聞きだすことはできない。
「……遼太郎?なにか心当たりがあるのか?」
「………」
永輝くん……、もしかして……この指輪は……。
「……いや、なにも思い当たることなんてないよ」
僕は、静かに永遠の眠りについた永輝くんの顔をじっと見つめた。