君に告げよう
第九章

*別れ*


翌日の永輝くんの葬儀にはいろんな顔ぶれが揃った。


高校時代の担任の先生。

かつていた暴走族の仲間たち。

建設会社の社長や同僚たち。

専門学校時代の知り合い。


その中に、永輝くんがバイトしていたコンビニの関係者は一人もいなかった。

柚羽さんと出会ったコンビニ。

まるで永輝くんの思い出から、すっぽりと消えてしまったかのように……。


みんなが、泣いていた。

けれど僕は、目に涙を浮かべることもできなかった。


永輝くんが死んだ。

そんな現実をはっきりと受け止め切れなくて。

棺の中で眠っている永輝くんを目の当たりにしても……、

それが永輝くんであると頭の中では分かっているのに、まるで見ず知らずの他人を前にしているような気持ちだった。


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